国際規格DIN EN ISO 13485は、医療機器の供給と関連サービスの両方に関する規格です。この規格の主な目的は医療機器の品質管理システムの構築です。
弊社のすべての医療素材材(MT素材)は厳重な管理の元で製造されております。エンズィンガーは品質の一貫性を保証しています。
ISO 13485に基づく弊社の品質管理システムにより、医療素材は課せれる要件を満たし、文書化されています。定期的に生体適合性試験は実施され、また組成変更やその他製造工程に大きな変更があった場合も必ず試験は実施され、その変更履歴は文書化されます。
医療および製薬分野でトレーサビリティーは重要です。個々のプロセスを一貫して漏れなく文書化することにより、エンズィンガーでは製品の完全なトレーサビリティを保証しています。注文ごとに生体適合証明書を発行しています。
エンズィンガーでは、以下の分野への適合性を取得した素材を提供しています。
および、以下の業界に関する素材認証試験
原料メーカーや試験機関との密接な協力関係によって、弊社ではお客様のご要望に応じて上記の証明書を発行しています。
食品業界向けのエンズィンガーの切削加工用素材は、以下の欧州食品規格の要件に従って製造されています。
欧州全体で適用される(EU) No. 10/2011に加え、エンズィンガーの素材は、食品衛生法、FDA(アメリカ食品医薬品局)、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)が発行する「食品接触材料に関する勧告」といった特定指令にも準拠しています。適合証明書はスタッフが素材リストを確認のうえ個別に発行します。
食品業界向けのエンズィンガー素材は、FDA認可の原材料を使用しています。
エンズィンガーでは食品製造向け切削加工用素材に対して、FDA適合証明書を発行しています。適合証明書はスタッフが素材リストを確認のうえ個別に発行します。
飲料水は、食品製造ガイドラインの対象範囲外となりますが、現時点では国際的に規格化されていない特別規制に従って管理されています。
飲料水は材料として、あるいは食品の洗浄、調理過程で使用されるため、エンズィンガーは以下の特定指令に準拠した安全な原材料を使用しています。
試験内容はそれぞれ異なるため、個別の試験が必要になります。しかし、飲料水の特定条件の適合性に関して、各基準は類似しています。KTW、WRAS、NSF61の仕様を見ると、冷水(最高23℃)、温水(最高60℃)、熱水(最高85℃)の3つのカテゴリーに分類されます。
食品接触と同様、飲料水と接触する素材の原材料は、適切なマイグレーション試験に合格しなければなりません。原則として原材料メーカーは、マイグレーション試験を実施しなければならす、またどの地域の規制に基づいて試験を実施するかを決めなければなりません。
エンズィンガーでは、医療器具から短期インプラントまでの医療用途向けに、滅菌耐性の異なる生体適合性素材(MT素材)を数多く提供しております。
エンズィンガーが証明する生体適合性は切削加工用素材に関してのみ有効です。最終的に部品の製造業者は、完成部品を検査し、認証機関へ申請する必要があります。
医療分野で使用される原材料はFDAの要件を満たしております。FDA認証はユーザーにリスクアセスメントに関する重要な情報を提供します。
エンズィンガーでは認定されたクリーンルーム設備を6つ備えています。これらは半導体や医療向けなどの特殊な素材製造に利用されています。弊社のクリーンル―ムは、3ゾーン・カスケードを適用した最先端設備を備え、DIN EN ISO 14644-1 Class 8およびEU GMP Class Dの規格を満たしています。
エンズィンガーの製品ポートフォリオには、特定の燃焼挙動を示す素材が含まれています。
UL94の燃焼性試験は原材料に対して行われます。ULまたはUL認定ラボでの燃焼試験に加えて、イエローカードの発行(ULリスティング)はULが直接行っています。そのため、ULリスティング認証を持つ素材と、関連するUL分類の要件を満たすだけの素材(リスティング認証なし)は異なります。エンズィンガーの切削加工用素材は、ULリスティングの原材料を使用しています。そのため、難燃性は原材料メーカーのイエローカードをもって代替証明としています。
UL94以外にも、以下のような特定産業向けの試験があります。
どちらの規格も、比重、硬度、引張試験などの品質管理試験、高温高圧環境で長時間液体に曝す耐薬品性試験が要求されます。
酸性薬品への耐性評価において、EN ISO 23936-1とNORSOK M-710には大きな違いはありませんが、圧力、温度、酸性薬品濃度に関する要件において、ISOの方が厳しいです。そのため、EN ISO 23936-1の条件に従って試験を行えば、NORSOK M-710にも従うことになります。
航空局認可を受けた企業の下請業者に直接適用される法規制は存在しません。そのため、エンズィンガーの切削加工用素材は対象となりません。エンズィンガーは、お客様と協力して適用可能な国内外の一連の規格を利用しています。
エンズィンガーはお客様からの要求仕様に適合した素材を提供するとともに、航空業界の製品認可や注文処理に関する慣習的な手順やプロセスを熟知しています。航空業界を専門とする弊社の担当部門とコンプライアンス管理部門が、お客様の個別の要件に従って、以下のような欧州主要規格に準拠した切削加工用素材の提供を行っています。
欧州規格EN 10204はさまざまな種類の検査証明書を定義しています。エンズィンガーでは以下の3つの証明書に対応しており、契約または依頼に従ってご注文ごとに発行することが可能です。
エンズィンガーの研究所では、素材の特性を評価するためにさまざまな分析機器を取り揃えています。また、弊社は外部の検査機関と連携して、さまざまな検査を行っています。
一般にすべてのバリエーションに保護が必要:
ブラック以外のバリエーションに保護が必要:
適切に保管されていれば、プラスチック素材自体が発火する恐れはありません。ただし、他の可燃物質と一緒に保管しないでください。
プラスチックは有機物質であり可燃性の素材です。プラスチックの燃焼生成物または分解生成物は、毒性作用または腐食作用を有する可能性があります。
プラスチックの廃棄物や切りくずは、専門のリサイクル業者によって処理、リサイクルされます。加えて、専門業者が適切な排出規制設備を備えた燃焼発電所に廃棄物を配送して熱処理し、発電することも可能です。これは特に、油分で汚染された切削加工による切りくずなど、プラスチック廃棄物が汚染されている場合に適用されます。
食品および医療技術の分野で使用される部品に存在する可能性のある残留汚染に関し、その最大量は特定されていません。清潔度の基準が定義されていないため、個々の生産者が許容可能な汚染量の限度を設定し、定義する必要があります。
FDAやEUのガイドラインでは、製品に対する物質移行に関する指令や規制が定められていますが、表面の清潔度については定められていません。
エンズィンガーの切削加工用素材の特徴
さまざまな溶接プロセスが利用可能であり、非接触プロセス(加熱素子、超音波、レーザー、赤外線、ガス対流溶接)、または接触プロセス(摩擦、振動溶接)から選択できます。使用方法によって、最適な接合を選択する必要があります。耐熱性プラスチックの加工の場合は、非常に高いエネルギーが必要とされます。使用する溶接方法は、部品の形状、大きさ、素材などによって異なります。プラスチックの加工において一般的に使用される溶接方法は次の通りです。
接着を左右する要因は以下になります。
プラスチックの接着部には、継続的な応力の負荷や、応力集中を避けてください。接着部位に圧縮・引張・せん断の応力負荷は許容できますが、曲げ・引き裂き・剥離の負荷は避けてください。可能な限り設計の段階で、接着部への応力が接着強度の範囲内であるように調整するようにしてください。
プラスチック製品(半製品を含む)の機械加工には、木工および金属加工用の市販のハイス鋼(HSS)工具や機械を使用することができます。
原則的には、アルミニウム加工用のような切込み角の工具が適していますが、くさび角の鋭角なプラスチック加工には特殊工具の使用を推奨しています。
強化プラスチックの加工は、保持時間が短く、加工時間が長いため、ハイス鋼は使用できません。この場合、鋸刃にタングステンカーバイド、セラミック、またはダイアモンドを用いた工具が最適です。丸のこを使用したプラスチック加工に関しても同様で、タングステンカーバイドの鋸刃が理想的です。
必ず、鋸刃の完璧に砥がれた工具だけを使用してください。プラスチックは熱伝導性が低いため、放熱を確実にするための措置をとらなければなりません。冷却のための一番良い方法は、切りくずを適切に除去することで放熱することです。
押出成形では、スクリュー押出機によってシリンダー内で原料樹脂を溶かし、圧縮してから均一な状態にします。シリンダー内に生じる圧力を利用し、適切な金型を使用して、素形材を板、丸棒、チューブ形状にし、冷却装置で調整します。
エンズィンガーは、切削加工用に最適化して製造した素形材プラスチックを豊富なラインナップで取り揃えております。
押出成形による圧力から、せん断運動が生じ、溶けた樹脂の塊を流出します。金型から押し出された素形材は、表面から中心に向かってゆっくりと冷えていきます。プラスチックは熱伝導性が低いため、部分ごとに冷却速度が異なります。表面がすでに固化していても、中心にはまだ液状または溶けたプラスチックが残っています。プラスチックが固化するときには、種類ごとに異なる収縮挙動を示します。冷却段階において、表面の固化した層によってプラスチックの中心部は収縮を阻害されています。
寸法安定性は、切削加工用プラスチックの製造から最終製品の使用にいたるすべての過程で考慮すべき特性です。さまざまな要因が加工部品の寸法安定性に影響を及ぼします。
エンジニアリングプラスチックでは、ドライ切削加工が主流になりつつあります。現在ではこの分野で十分な経験が蓄積され、切削油を使用することなくプラスチックを加工することができるようになってきました。熱可塑性プラスチックの以下の機械加工は例外です。
一方で、十分に冷却された刃面を使用すれば、プラスチック部品の表面品質と公差を改良することができます。さらに、送りを増やし、結果的に加工時間を短縮することも可能になります。
冷却が必要な場合は、以下の方法が推奨されます。
寸法要件の厳しい部品はすべて、アニール処理を施した素形材から製造します。そうしないと、機械加工による熱でどうしても残留応力が解放され、部品に反りが生じてしまいます。
機械加工中に生じた内部応力を緩和するため、エンズィンガーの素形材は原則として常に、製造後に特別のアニール処理を施しています。アニール処理は、特別な熱風循環オーブンを使用して行われますが、一部の製品では窒素雰囲気下の熱風循環オーブンを使用したり、オイル・バスを使用する場合があります。
アニール処理は、素形材、成形部品、完成部品の過熱処理を伴います。素材ごとに決められた温度まで、ゆっくりと均等に製品の温度を上げていきます。続いて、成形部品内に熱を完全に行き渡らせるため、保持時間をとりますが、この時間は素材とその肉厚によって異なります。その後、ゆっくりと均等に室温まで温度を下げます。
プラスチックはバンドソー(帯のこ盤)でも、テーブルソー(丸のこ盤)でも切断できます。素形材の形状に応じていずれかを選択します。一般的にプラスチック切断加工の最大の危険は、加工工程で工具によって熱が発生し、加工部品に損傷を与えることです。このため、形状と材料に合った鋸刃を使用することが必須です。
プラスチックは市販の旋盤で加工できます。ただし理想的な結果を得るには、プラスチック専用工具の使用をお勧めします。
メリット
メリット
穴あけ加工では特に、プラスチックの低い熱伝導性を考慮する必要があります。プラスチック(特に結晶性樹脂)は、穴あけ中に摩擦熱が滞留しやすく、特に穴深さが穴径の2倍以上の場合には短時間に熱がこもることがあります。そうなってしまうと、いわゆる「スミアリング」と呼ばれる現象が生じやすくなり、一部が過熱膨張することで、加工品内部に圧縮応力がかかるおそれがあります(この現象は、特に丸棒の中心部に穴あけ加工するときに見られます)。この圧縮応力により、完成部品に大きな歪みが生じたり、寸法が出なかったり、さらにはクラックや折れ、または破裂にいたる可能性もあります。これらの不具合は、材料に適した加工をすることで避けることができます。
プラスチックは普通のマシニングセンターでフライス加工できます。この場合、刃溝幅が十分に大きな工具を使用すれば、切りくずをきちんと排出でき、摩擦熱の滞留を回避できます。
プレーナーと平フライス削りは、特定形状の刃で切削する方法で、特定の切り口、均等な表面、溝またはプロファイル(形成フライス)を加工するために使用します。
プレーナー掛けは、プレーナー機を使って表面上をまっすぐ切削します。これに対し平フライス削りは、フライスヘッドを使って表面を円周方向に切削します。どちらの切削方法も、素形材の表面を平坦または均質に加工するのに適しています。最大の違いは、表面の仕上がりが見た目に違うことです(表面構造、光沢)。
エンジニアリングプラスチックのねじ山は、雄ねじはチェース加工(ねじ山立て)で、雌ねじの場合にはフライス加工で作成するのが理想的です。
最適な加工ができるように機械を設定し、被削材に適切なパラメーターを選択すれば、粗さの少ない仕上がり品質の非常に優れた表面、最大直径公差h9、真円および真直が実現できます。
弊社の加工サービスでは、丸棒を提供することができます。表面品質が高く、寸法公差が小さいことにより、丸棒は加工がしやすく、連続製造工程に適しています。
上質な表面に仕上げるためには、以下の機械加工ガイドラインを必ず守ってください。
エンプラの一般的なバリ取り方法
炭素繊維およびガラス繊維強化プラスチックを加工する際は、以下の点に注意してください。
のTECAFORM AH / ADナチュラル、TECAPETホワイト、およびTECAPEEKナチュラルといった非強化結晶性の素材は、機械的特性のバランスが良く、寸法安定性が非常に高いのが特徴です。これらの素材は切削加工性に優れ、亀裂型切りくずが出る傾向があります。そのため、大きな切込み量と送り量で切削加工することができます。
ただし、特にTECAFORMとTECAPETの後収縮率は最大2.5%にもなる恐れがあるため、加工時の発熱を最小限に抑えることが重要です。局所的な過熱により反りが生じる可能性があります。上記の素材の場合、最適な加工パラメーターで切削すれば、面の粗さを極力抑えることができます。
TECASTナチュラル、TECAMID 6ナチュラル、TECAMID 66ナチュラルといったポリアミド製品は、本来非常に硬くて脆い性質があり、このことは「成形直後」の状態にも当てはまります。しかし、その化学構造によりポリアミド製品は吸湿性が高く、こうした性質が靭性と強度の非常に良いバランスを生んでいます。
吸湿は表面から進行し、小さな素材および部品では実際にほぼ全体が均等に吸湿します。比較的大きな素材では(特に直径100 mm以上の丸棒、厚さ100 mm以上の板)、外側から内側に入るにしたがって吸湿量が少なくなります。
最悪の場合には、中心部が硬くて脆くなります。押出成形による内部応力に加え、切削加工によって応力亀裂が生じる恐れもあります。
また、吸湿に伴い材料の寸法が変化することがある点にも注意が必要です。このような吸湿に伴う「膨張」は、ポリアミド製部品の加工および設計時に考慮に入れなければなりません。素材の吸湿(状態)は、切削加工において重要な影響を及ぼします。特に、薄板(厚さ10 mm以内)の部品は、吸湿率が最大3%に及ぶことがあります。大体の目安:
吸湿率3%で、寸法が約0.5%変化する
TECAST T ナチュラルの機械加工
TECAMID 6ナチュラルおよびTECAMID 66ナチュラルの機械加工
弊社では通常、寸法が大きなワーク(直径100 mm以上の丸棒や厚さ80 mm以上の板など)で、中心付近を切削加工する場合には、加工中にクラックが発生するのを防ぐため、ワークを80~120℃に予熱することを推奨しています。
TECANAT、TECASON、TECAPEIは非晶性の素材であり、油脂など浸透性の高い溶媒との接触によって、ストレスクラックが発生しやすい傾向があります。また、切削油にも多くの場合、応力発生の原因となり得る媒質が含まれています。そのため、これらの素材を機械加工する際には切削油の使用をできるだけ避けるか、水溶性の媒質を使用してください。
非晶性素材は、高い寸法精度を要する寸法安定性の非常に高い既製部品を製造するために使用されますが、この場合各素材に合った適切な加工パラメーターを使用してください。
PTFE含有素材(TECAFLON PTFE、TECAPEEK TF、TECAPEEK PVX、TECATRON PVX、TECAPET TF、TECAFORM AD AF等)は、ナチュラル材と比較すると機械的強度が若干低い場合が多く見られます。
TECASINT製品には、1000、2000、3000、4000、5000のラインナップがあり、市販の金属加工機でドライ加工またはウェット加工(切削油使用)が可能です。
ポリイミドは吸湿性が高いため、バリヤーフィルムで真空パックすることをお勧めします。超高品質部品の吸湿による寸法変化を防ぐため、使用する直前に真空パックを開けるようにしてください。
TECATECは、PAEK(ポリアリルエーテルケトン)をベースに炭素繊維織布を50%~60%含有した複合素材です。そのため、TECATECの機械加工は通常の繊維強化プラスチックと比べてかなり難しいものになります。この素材は積層構造になっているため、機械加工が不適切だと以下のようなさまざまな問題が生じます。
上記の理由から、この素材には特殊な加工方法が必要になります。加工方法は、ワークごとに検討してケースバイケースで決定します。
TECATECの特定の用途に対する適性と仕上がり部品の品質を左右するのは第一に、素材内におけるワークの位置です。開発段階ですでに繊維織布の方向を考慮しますが、特に使用時にかかる負荷の種類(引張る、押す、曲げる)や、さらに後の切削加工にも考慮が必要です。
HSS工具または超硬バイトよりも耐久性の高い、以下の工具を推奨します。
これらの工具は耐久性に優れているだけでなく、素材に合わせた設計がされていれば送り力を最小化することができます。
注意すべきパラメーターは以下の通りです。
これらの情報は、TECATECの加工に関する基本的なヒントです。詳細な情報は個々のケースで異なります。