医療用PPSUグレード

TECASON P MT

PPSU樹脂のTECASON P MT は一般的な滅菌方法、特に高温蒸気滅菌処理(オートクレーブ)に対する卓越した耐性を備えた医療用プラスチックです。洗剤、殺菌剤への良好な耐性を有するTECASON P MTは、医療での安全性を向上させます。また、苛酷な使用環境でも長期に渡って使用することも可能です。 

関節再建、外傷、脊椎をはじめとする様々な医療分野で採用されています。手術用器具、器具把手、膝関節・股関節・肩関節置換手術の大腿骨・脛骨などのインプラントトライアル、滅菌トレーや容器として使用されています。 


生体適合性

ISO 10993の生体適合性に対応しており、血液や体組織への24時間以内接触に適した素材です。

TECAPRO MTのすべてのグレードに対し、ISO10993に基づいた試験を実施しています。  

主な特徴

耐熱性が高く、優れた機械特性と靱性があります。特に、優れた耐衝撃強度は手術中に頻繁に起こりえる衝撃や応力に耐えることができます。

  • 優れた蒸気滅菌処理耐性
  • 洗剤、殺菌剤、各種溶剤に対する耐性
  • 非常に優れた寸法安定性
  • 高い衝撃強度およびノッチ付き衝撃強度
  • 低い吸水性
  • 優れた電気絶縁性
     

蒸気滅菌(オートクレーブ)耐性

約800回までのオートクレーブ処理を行っても、機械特性の著しい低下は見られません。また、約1000回まで退色、変色(黄ばみ)、硬化なども見られません。

 

試験条件
薬品洗浄処理を行っていないプラスチック試験片を使用し、以下を1サイクルとして実施しました。

  • 滅菌処理温度:134℃
  • 滅菌時間:10分間
  • 乾燥時間:20分
  • 室圧:3Bar

※薬品を用いた洗浄(例:Ecolab、Borerなどの使用)の影響については考慮していません。これまでの経験から、薬品の種類と洗浄回数が耐久性に影響を及ぼすことがわかっています。薬品を使用した場合は、上記の回数まで対応できないと考えられます。


TECASON P MT素材

TECASON P MTの丸棒・板材の豊富なサイズとカラーからお選びいただけます。カラーバリエーションにより、使用用途の自由度が高まります。異なる器具やサイズごとに用いることで、識別しやすくなり視認性が上がります。競合製品と差別化するため、色によるブランディングも効果的です。

TECASON P MT green

生体適合性の医療用緑色PPSU素材です。24時間以内の生体接触が可能です。

TECASON P MT grey

生体適合性の医療用グレー色PPSU素材です。24時間以内の生体接触が可能です。

TECASON P MT blue

生体適合性の医療用青色PPSU素材です。24時間以内の生体接触が可能です。

PPSU X線造影グレード-TECASON P MT XRO

蛍光透視検査、レントゲンに対して優れた造影特性を有する医療用PPSUグレードです。標準医療グレード(MTグレード)に最適な濃度で造影剤を添加したことで、対象物を明瞭に造影させることが可能となりました。これにより、人工関節置換手術のインプラント処理前段階において、トライアルテストピースの正確な位置を確認することができます。

TECASON P MT XRO black

生体適合性の医療用X線検出機対応黒色PPSU素材です。X線造影剤を配合したことで、蛍光透視検査やレントゲン撮影で対象物を明瞭に造影できます。

TECASON P MT XRO blue

生体適合性の医療用X線検出機対応青色PPSU素材です。X線造影剤を配合したことで、蛍光透視検査やレントゲン撮影で対象物を明瞭に造影できます。

TECASON P MT XRO grey

生体適合性の医療用X線検出機対応グレー色PPSU素材です。X線造影剤を配合したことで、蛍光透視検査やレントゲン撮影で対象物を明瞭に造影できます。

採用事例

膝間接インプラント用テストピース

TECASON P MT grey(PPSU素材)

膝間接手術向けサイズ調整テストインプラント

膝関節手術や再建手術は世界中で行われており、インプラント向けの手術器具にはハンドリング性や安全性が求められています。これまで大腿骨、脛骨、骨幹向けに使用されてきた金属製テストピースを、PPSU素材:TECASON P MTやPEEK素材:TECAPEEK MTといった高機能プラスチックに置き換えました。