電気電子分野においてプラスチックの優れた電気絶縁性は重要です。フィラーを配合しないプラスチックはそのままで電気絶縁性を示します。大きな電流や電圧に対する耐性をもちます。通電による人や物へのダメージを避けるため、電気絶縁性プラスチックは、スイッチ、照明器具、電気ケーブル、回路基盤などに使用されています。
プラスチックの絶縁性を表すのに、CTIや絶縁破壊強度が利用されます。
非常に優れた絶縁性のプラスチックであっても、湿度や表面の汚染により、製品特性を損ねる可能性があります。ほとんどの場合、リーク電流が発生するときは、絶縁部分をまたぐ小さな光の弧(アーク)を伴います。このアークにより、プラスチックの表面が熱的ダメージを受けます。アーク放電が繰り返されると、プラスチックの劣化が断続的に生じ、劣化部分がつながりをもって分布するようになります。やがてこの劣化部分は炭化し炭化導電路を形成し、ショートするところまで導電性が上がり、絶縁破壊に至ってしまいます。CTIはプラスチックの添加剤、特に着色剤の配合の組み合わせの影響を強く受けます。右の図は、各素材のCTIを示しています。
絶縁破壊強度とは、絶縁材であるプラスチックの厚み方向に高電圧を印加したときの耐性を試験するものです。特性値は、印加した電圧を試験片の厚みで割った値となります。単位は、kV/mmになります。この絶縁破壊強度は、薄肉の部品・製品において特に重要な物性項目です。
注:黒色材料の場合、添加しているカーボンブラックの種類・添加量によっては、絶縁破壊強度の低下がみられる場合があります。
高周波交流電圧をかけたときのプラスチック(誘電体)の構成分子の双極移動によるエネルギー損失の度合いを表すものです。この誘電正接の値が大きいと、誘電体として機能するプラスチック部品が発熱しやすくなります。レーダー装置、アンテナ関連部品、マイクロ波部品などの高周波用途に使用するプラスチック絶縁体の誘電正接は、可能な限り低い素材を選択すべきです。誘電正接は以下の要因に依存します。
架橋PS(ポリスチレン)のRexoliteは周波数1MHz 〜 500GHzの範囲における比誘電率が2.53であり、誘電正接も非常に小さいという特徴があります。
エンズィンガーは優れた電気絶縁性を持つプラスチックを幅広く取り揃えております。以下は素材例になります。