プラスチックは金属と比べると軽量であるため、燃費削減に貢献できる最適なソリューションです。ただし、プラスチックを航空機内装品に使用する場合、火災発生時の客室と乗客への安全性を確保するため、いくつかの技術要件を満たさなければなりません。FAA(アメリカ連邦航空局)は航空機の防火性を目的に、使用する材料に様々な燃焼試験(FAR 25.853など)を課しています。たとえ熱や炎にさらされてもプラスチックは特定の性能を満たすことを証明しなければなりません。
PEEK、PEI、PPSのような高機能プラスチックは特にフィラーを添加しなくてもそのままで難燃性を示しますが、PAやm-PPEなどのエンプラや汎用プラは、耐熱性が低いため特殊な添加剤を配合しなくては使用できません。
エンズィンガーは航空機内装向けにPAとPPEの難燃性グレードを開発しました。強度や耐熱性が不要な用途では、高価な高機能プラスチックの代替となり低コストのメリットがあります。FAR 25.853の燃焼試験をクリアした新たなグレードは以下になります。
エンズィンガーでは航空機内装品(シート、照明、ギャレー、操縦室など)に使用可能な燃焼試験をクリアした切削加工用素材をご用意しています。豊富なサイズの丸棒、板、パイプ、チューブ形状のほか、個別でカスタムサイズにも対応しています。
垂直燃焼試験(60秒もしくは12秒接炎)を実施しており、追加で発煙性、毒性、ヒートリリース試験も必要に応じて実施しています。広範囲にわたるテスト結果をお客様といつでも共有することができます。お客様の航空機内装品の設計改善や新規開発をサポートします。
航空機のキャビン環境で使用される航空機内装品は、特定の難燃性を満たす必要があります。垂直燃焼性試験は必ず実施されますが、更なる詳細のFST試験(Flammability / Smoke / Toxicity:難燃/発煙/毒性)が必要になる場合もあります。
エンズィンガーでは実際の使用で最も薄いと想定されるサイズにて燃焼試験を実施しています。材料データシートには試験片の厚さや試験情報を記載しています。燃焼試験の証明書に関してはご要望に応じてご注文時に発行しています。
お客様はエンズィンガーの燃焼試験データにより最適な素材を選定でき、また、最終的なFST試験前にデータを参考資料として活用することもできます。ご要望や必要性に応じて追加の試験も行います。(例:追加で厚さを調整した試験片にてテスト)
航空機製造メーカーは更なる安全性を確保するため、独自で燃焼試験規格を制定しています。FST試験に関して上記と同様の内容を含んでいます。
試験項目 |
FAR 25.853 |
Airbus社規格
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Boeing社規格 |
垂直燃焼試験 60秒接炎 |
FAR Part 25, § 25.853 (a) ならびに |
AITM 2.0002A | BSS 7230 F1 |
垂直燃焼試験 12秒接炎 |
FAR Part 25, § 25.853 (a) ならびに |
AITM 2.0002B | BSS 7230 F2 |
水平燃焼試験 15秒接炎 |
FAR Part 25, § 25.853 (a) ならびに |
AITM 2.0003 | BSS 7230 F3 |
FAR Part 25, § 25.853 (a) ならびに |
BSS 7230 F4 | ||
ヒートリリース |
FAR Part 25, § 25.853 (d) ならびに |
AITM 2.0006 | BSS 7322 |
煙密度 |
FAR Part 25, § 25.853 (d) ならびに |
AITM 2.0007A & B | BSS 7238 |
ガス毒性 | 該当なし | AITM 3.0005 | BSS 7239 |