帯電を回避し静電気放電(ESD)から保護するために使用されます。電気抵抗値は106-12Ωの素材です。電気的に非常に敏感な部品を取り扱う場合、製造工程において部品へのダメージや破壊を大幅に低下させることができます。新素材のTECAPEEK SD blackであれば帯電を防止することができます。導電性ポリマー配合のTECAFORM AH SD naturalも有効です。
一般工業分野においてもコンベア用途や防爆用途で使用されています。帯電を防止することで爆発性の放電を回避することができます。
エンズィンガーの導電性TECAPEEK ELS nano black、さらに機械強度も向上させたTECAPEEK ELS CF30 blackは電子、自動車、再生可能エネルギーなどの幅広い用途での使用を可能にします。
注:機械強度向上を目的としたTECAPEEK CF30 blackや、摺動性向上を目的としたTECAPEEK PVX blackの電気特性は2次的な効果です。導電帯から電気絶縁帯までの幅広い電気特性を有するため、電気用途での使用は注意が必要です。
右の表は、左から以下のようになります。
テクニカルワンポイント:CNTの分散
炭素繊維を添加しただけでは、炭素繊維の配向により導電性に偏りが生じてしまいます(高い部分と低い部分が現れます)。また、炭素繊維の弾性率が高いために素材全体の弾性率が高くなり、切削加工性が損なわれ高い寸法精度は期待できなくなります。さらには、炭素繊維の剥落や発塵によりクリーン環境を損なうリスクもあります。
近年、高い導電性能を示すカーボンナノチューブ(CNT)が注目されています。しかし、CNTは容易に凝集してしまうため、分散性の改善という技術課題がありました。分散性を改善することで、ごく少量のCNT添加で高い導電性を実現することが可能になり、ベース樹脂の特性をそのまま活かすことが可能になりました。