高機能プラスチック

高機能プラスチック(スーパーエンジニアリングプラスチック、スーパーエンプラ)は、高い強度、耐熱性、摺動性、低摩耗性、軽量性、耐薬品性などを備えた、長期耐熱温度:150℃以上の樹脂です。卓越した性能と耐久性により、一般工業のみならず医療や航空宇宙といった先端産業分野で使用されています。どの産業分野においても「パフォーマンス」が重要で、その要求はますます高まっています。品質、効率、耐久性、スピードを向上させ、最小のメンテナンスと最大の費用対効果を得ることが必要となります。高機能プラスチックはこれらを実現し、優れた強度や耐熱により「金属代替」として使用されています。エンズィンガーのPEEK、PEI、PI、PPSU樹脂であれば過酷な環境でも対応できます。

エンズィンガーの高機能プラスチックの特徴

  • 耐熱性
    PEやPPのような汎用プラスチックは長期耐熱温度:100℃以下になりますが、PEEKであれば260℃、PIであれば300℃以上で使用することができます。耐熱性のプラスチックであれば高温下でも変形が少なく、強度と寸法安定性に優れます。
  • 機械強度
    エンズィンガーの高機能プラスチックであれば、60MPaから600MPaを超える引張強度まで、幅広い領域から選択することができます。押出成形素材のため、射出成形品よりも高い結晶化度と高強度が特徴的です。
  • その他の特性
    通常のプラスチックよりも摺動性、耐摩擦性、耐薬品性などに優れた特性があります。高い使用温度環境においても性能は発揮されます。さら
    に機能性が必要な場合は以下のグレードが有効です。
  •  強度向上

    ガラス繊維や炭素繊維などの強化フィラーを添加することで、剛性や熱変形温度、寸法安定性が向上します。一部の金属に近い熱膨張係数と剛性も可能となります。現在、炭素繊維強化プラスチックは極めて高い剛性と機械特性、軽量性が求められる使用環境(航空宇宙や自動車産業など)において最も有効なソリューションとなっています。

  • 摺動性向上

    耐摩耗、低摩擦係数が求められる用途において、スーパーエンプラにPTFEやグラファイトなどを配合することで優れた摺動性能を発揮します。

  • 導電性・帯電防止性

    通常、耐熱性プラスチックは優れた電気絶縁性を示しますが、フィラーを配合することで誘電特性や導電性や帯電防止性といった特性を得ることができます。使用用途に合わせて選定することができます。

エンズィンガーの高機能プラスチック郡

PEEK、PEI、PI、PPSU、PVDFなど、以下の高機能プラスチックを提供しています。

長期耐熱温度の目安

  • PI樹脂:300℃ - 400℃
  • PEEK樹脂:260℃
  • PPS樹脂:230℃
  • PEI樹脂:170℃
  • PPSU樹脂:170℃
  • PVDF樹脂:150℃
エンズィンガーの高機能プラスチックの素材形状と種類は以下になります。

 

  • 丸棒、チューブ
  • 板材、シート
  • フィラメント(3DプリンターFFF方式向け)
  • 特殊コンパウンド(一部のグレードになります)

高機能プラスチックの主な使用用途

様々なアプリケーションに使用されます。

  • 一般工業向け:耐熱性、耐薬品性が求められる用途。耐摩耗性、摩耗速度・低摩擦係数が求められる用途において、PTFEやグラファイトなどの潤滑剤を配合した部品(例:治具、ベアリング)
  • ガラス製造および航空宇宙産業向け:耐熱性、耐衝撃性が求められる用途(例:ガラスハンドラー、断熱材)
  • 半導体製造向け:耐熱性、低アウトガス性、電気絶縁性、導電性が求められる用途(例:クリーニングデバイス、CMPリング、テストソケット)
  • 医療器具向け:滅菌処理や加水分解に耐性のある部品(例:外科手術器具、創外固定器、リトラクター、歯科器具、口腔部品)
  • 原子力分野:放射線技術および核燃料の分野における、真空用途や低アウトガス性および耐放射線性を要求される用途(例:シールリング、ガスケット、パッキン)
  • 化学産業向け:耐薬品と強度が求められる部品(例:洗浄装置、薬液タンク、流量計)