近年、金属からプラスチックへの代替が進むにつれて、高強度の素材が求められてきています。要求される機械強度と耐久性に応じて最適なプラスチックを選択することが必要です。エンズィンガーの豊富な素材群から選択することで、強度に優れた製品を作製することが可能です。
【プラスチックの強度のイメージ】
プラスチックを引っ張ると左図のようになります。
プラスチックの機械特性には様々な項目がありますが、基本的な機械特性として以下に挙げられます。
【試験例(引張試験)】
これらの特性は、JIS、ISO、ASTMなどの規格化された試験にて調べることができ、あらゆる素材を比較することができます。
例えば、右のグラフはDIN EN ISO 527に従った引張試験です。この試験により、引張強度、引張伸び、引張弾性率を取得することができます。
【グラフの説明】
[X軸]
[Y軸]
エンズィンガーはすべての切削加工用素材について機械特性を試験しています。データ値はそれぞれのデータシートに記載されています。これらの情報を利用して素材を比較することができます。
なお、エンズィンガーが提供するデータと他のソースからのデータを比較すると、異なる場合があります。理由として、試験方法、試験速度、試験片の違いが原因と考えられます。エンズィンガーは、切削加工用プラスチック素形材(丸棒、板、チューブ材など)の形状や試験を定めたヨーロッパ標準規格:DIN EN 15860に沿って試験を行っています。エンズィンガーが提供するデータは押出素材から切削加工された試験片を利用して得たものです。押出成形品と射出成型品とでは、結晶化度と繊維の方向が異なるため、値に決定的な差が生じます。(詳細は、以下の引張強度にて説明します。)
引張強度と曲げ強度は、プラスチックをを比較するときに最もよく使用される項目です。高い引張強度を持つエンズィンガーのプラスチック素材例は、次の通りです。
注:炭素繊維やガラス繊維で強化することで、一般的に引張強度と曲げ強度が向上しますが、射出成型品と比較すると効果は限定的です。
押出成形、射出成形の成形方法の違いにより機械物性に違いが生じてきます。射出成形品よりもエンズィンガーのフィラー無添加の押出成形品のほうが、結晶化度と密度が高い傾向にあります。そのため、射出成形品よりも高強度の物性が得られます。(引張強度、弾性率ともに高くなります。)以下にTECAPEEK naturalを例として示します。
TECAPEEK natural
PEEK樹脂 (ナチュラル品)
物性項目 (左:射出成形品 右:押出成形品)
反対に、強化繊維配合の素材同士を比較すると、押出品は繊維が強く配向しないため、射出成形品のほうが引張強度が高い傾向なります。 以下にTECAPEEK CF30 blackを例として示します。
TECAPEEK CF30 black
PEEK樹脂 + 30%炭素繊維強化
物性項目 (左:射出成形品 右:押出成形品)
配向について
標準グレードよりも高弾性な炭素繊維、ガラス繊維配合強化グレードもご用意しています。
圧縮強度[MPa]
素材例:
ボール圧入硬度[MPa]