金属代替としてのプラスチック
高い機械的強度と精密性を実現するため、鋼や合金などの金属がこれまで使用されてきました。近年、エンジニアリングプラスチックは軽量性、耐薬品性、高強度など様々な特徴により、金属代替として使用されており、その活躍の場がますます広がっています。
金属や汎用プラスチックでは対応困難な場合でも、エンジニアリングプラスチックであればその優れた機能により問題を解決することができます。ギア、治具、ベアリング、スペーサー、バルブ部品など、多くの機械部品に用いられています。
エンズィンガー素材のメリット
求められる特性
耐熱性
高機能なプラスチックであれば、最大400℃まで対応することができます。200℃以上の高温あっても、PIやPEEKであれば、物性は高いレベルで維持できます。すぐれた耐熱性により、使用範囲が広がります。
摺動性
プラスチックはそのままで良好な滑り特性があります。低摩擦、耐摩耗性向上を目的に特殊な添加物(PTFEやグラファイトなど)を配合する場合があります。TECAPEEK PVX blackは100℃以上の過酷な摺動環境に対応した優れた素材です。
機械強度
金属代替として高強度のスーパーエンプラが求められます。ガラスまたは炭素繊維を配合することで更に強度を向上させることができます。TECAPEEK CF30 blackやTECAPEEK GF30 naturalは理想的な素材です。
一般工業向け切削加工用プラスチック
エンズィンガーは一般工業向けに適したプラスチック素材を提供しています。POMやPAのような汎用エンプラからPEEKのようなスーパーエンプラまで、幅広くご用意しています。
採用事例

炭素繊維コンポジットとTECAPEEK naturalによる軽量化と金属代替化
最高で毎分300回のショットスピードを発揮できる高速で精密なLoson社のデルタロボットは、ピッキング工程や包装工場で使用されています。アルミニウムから高機能プラスチック(TECAPEEK natural)に変更したことで軽くなり、慣性モーメントが低下したことでより速く安全に操作できるようになりました。
よくある質問
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金属からプラスチックに変更する際に注意すべき点は何ですか?金属代替としてプラスチックのメリットを最大限に活かすため、部品設計を見直す必要があります。切削加工性や寸法精度、機械的特性、クリープ変形(負荷が長期間かかった場合の変形)、温度による特性の変化など、様々な点に注意しなければなりません。
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最も切削加工しやすいプラスチックは何ですか?
POM素材のTECAFORM AHです。この素材は非常に切削加工しやすく、切り屑を取り除く必要はなく、脆くなりすぎることもありません。微細な加工性が必要な場合は、スーパーエンプラのPEEK素材やPEI素材がお勧めです。
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最適な素材を選ぶにはどうすればよいですか?最適な素材を選定するには、たとえば、
- 使用方法(例:静的か動的か。回転摺動か)
- 使用温度と時間 (例:100℃以上で200時間以上)
- 機械的負荷 (例:50MPaの圧縮負荷)
- 使用薬品 (例:30%塩酸で10時間)
- 紫外線への曝露など外的要因の有無
- 洗浄条件
など、できる限り多くの条件を確認する必要があります。
以下の材料選定ツールでは、条件を指定することでエンズィンガーの豊富なグレード郡から最適な素材をお選びいただけます。(特殊な条件での使用、コスト、入手性なども含めたご相談については、直接ご連絡ください。)